仲値時間にかけて円安ドル高になるのか検証してみた
東京時間の午前10時頃に向けて円安ドル高になると言われています。これは企業や個人が外貨を売買するレートである仲値が午前9時55分頃に決定されるためです。東京時間では日本企業が外国企業への支払いのためドルの需要が高まります。実需に対応するため金融機関は中値時間前までにドル買いを強めます。
上記のような傾向があるとされていますが、実際どうだったか簡単に検証してみましょう。
AM9:00台の始値と終値の検証
2001年から2014年8月までのドル円時間足で、東京時間AM9:00台の始値と終値がどのように変化したかを検証します。
データはDBに格納したデータを使用します。
usdjpy
本データはGMT+1の時間足なので、東京時間(GMT+9)でいう AM9:00は本データの1:00に該当します。1:00の日々のデータを抽出するため、pandasライブラリのdate_rangeを使って該当時間を抽出します。
指定期間の最初から24時間ごと(freq='D')の時間を抽出します。
freq = pd.date_range('2001-01-04 1:00:00', '2014-08-05 1:00:00',freq='D')
始値(open)から終値(close)の差分(dif)を求めます。
上記のサンプリング時間には土日等も含まれており、時間足データに存在しない時間もあります。for文で処理すると存在しない時間ではエラーになるのでエラー処理をしています。
data=[]
cumsum=0 for i in range(4963) :
try:
rate = usdjpy.ix[freq[i]]
dif = rate.open - rate.close
cumsum = dif + cumsum
data.append(np.array([freq[i],dif, cumsum]))
except KeyError:
pass
始値(open)から終値(close)の差分(dif)を時系列順にグラフにプロットします。
ten_oclock=pd.DataFrame(data)
ten_oclock.plot(x=0,y=0)
始値(open)から終値(close)の差分(dif)の要約統計量を求めます。
ten_oclock[1].describe()
count 3517.000000 mean -0.003224 std 0.106065 min -0.670000 25% -0.060000 50% 0.000000 75% 0.050000 max 1.250000 dtype: float64
平均で0.3銭円安に偏っていることがわかります。時系列での累積値の推移はいかほどでしょうか。
時系列での累積値
始値(open)から終値(close)の差分(dif)の累積値をグラフにプロットします。
ten_oclock.plot(x=0,y=2)
符号を逆にしたほうがイメージつきやすいかとは思いますが、毎日AM9:00にドルを買ってAM10:00に売れば利益を出せそうではあります。
ただ、スプレッド差を考慮する必要があるので利幅としてはかなり限定的ですね。
とはいえ着眼点としては興味深いので、次回は他の時間でも始値と終値の差分にどのような傾向があるのか、まとめてみたいと思います。