サイエンティストとマーケターのはざま

Pythonとか広告とかデータ分析とかとか


Lift-Based Bidding in Ad Selection

先行研究のサーベイついでに、読んで和訳した論文を載っけていこうかなと。

表題はAAAI16に掲載されたJian Xuらによる論文です。 Xuは聞いたことない方ですが、共著者にYahooの方がおられるので、広告に関する共同研究の一環で発表したものでしょう。

背景

アドテク、とりわけRTB業界では長年クリックされることが広告の価値とされ、DSP業者のサイエンティストたちはひたすらCTRの予測精度向上を目指して試行錯誤してきました。それこそがDSPの収益を向上させるからです。

しかし近年、ブランディングを目的とした動画広告が盛んになり、RTBにおいてもブランディング広告の出稿量が日に日に増加しています。

ブランディング広告のKPIはクリックしたかどうかでなく、態度変容(認知や利用意向度)の向上を目的としたものであり、既存のRTBにおけるインターネット広告の概念で入札することが適切ではありません。

そこで、広告が見られた効果に着目し、広告が当たったことによって、ユーザーのあるパフォーマンスAR(Action Rate)がリフトしたかどうかを検証することが重要になってきます。 XuらはARリフトをモデリングし、ABテストを行っています。

Motivating Examples

広告が表示されたユーザーはすでにARが高まった状態となっている。

Example 1(Value-Based Bidding)

CPA = $100の広告主がいて、user aとbからビッドされる。aのARは、広告を見せると0.04で見せなければ0.03である。一方bは広告見せると0.02で見せないと0.001である。 競合が$3.5で入札していた場合、DSPにとっての期待収益は$4となる。

Example 2(Lift-Based Bidding)

Ex.1でのAR Liftはa, bそれぞれ0.01, 0.019であった。lift値に基づく入札価格がそれぞれ$2, $3.8であったとき、広告主bが勝つことになる。この場合、期待される広告のアクション数は0.02+0.05となり、Ex.1のときより好ましい。ただし、DSPにとっては利益が減る。

Value-Based Bidding vs. Lift-Based Bidding

定義1(ARとAR lift)

ユーザーuと広告主Aからの広告リクエストqが与えられる。このとき、ARはuがアクションしたい確率として定義され、AR liftはΔpで表される。

定義2(Value-based bidding)

uに広告が表示された場合、α×pの入札価格が発生する。しかし、広告主にとっての最適な戦略ではない。

定義3(Lift Based Bidding)

uに広告が表示された場合、β×Δpの入札価格が発生する。CPA価格モデルのDSPではラストcvで評価されるため、アクションの数に応じて支払いが発生する。

定義4(Last-Touch Attribution)

2つのDSPによって入札が行われる。DSP1はvalue-basedでDSP2はlift-basedで入札する。i番目のリクエストのユーザーuiが広告を見た場合、Δpiリフトアップする。

Lift-Based Bidding in Action

Predicting AR Lift

aは広告、sはリクエストが来た時間を表す。s+(a)はaが見られたことをあらわす。このとき、リフトアップは、以下で表される。 f:id:ukichang:20170626010847p:plain

右式はどちらかの項は観測できないため、様々な特徴量からなる関数Fを導入してAR予測モデルP̂ からリフト値を推定する。 f:id:ukichang:20170626010912p:plain

Model Training

モデルを学習し、P̂を予測する必要がある。 以下がARモデル作成に用いた特徴量。 f:id:ukichang:20170626011006p:plain

学習にはGBDTを用いている。

Fitting Lift-Based Bidding in the Market

入札単価は広告主のCPAに応じて計算される。AR liftに比例した入札単価β×Δpをリコールする。βは以下で表される。

f:id:ukichang:20170626011113p:plain

p¯はARの平均で、Δp¯はAR liftの平均である。

Blind A/B Test with a Real DSP

3つのbidderで検証。常にbidするbidder、value-based型のbidder、liftup-based型のbidder。 結果は以下。 f:id:ukichang:20170626011306p:plain

value-basedとliftup-basedをLift-over-lift(コントロール群との差/対照群)で比較すると、最大367%のlift改善が期待できる。(Table 4) コストに関しては既存ロジックより高くなる。(Table 5)

結論

リフトアップに着目した入札モデルを提案している。 A/Bテストの結果、一般的なDSPよりコストは高くなるが、ARの大幅なリフトアップが期待できる。

参考

Lift-Based Bidding in Ad Selection ‘AAAI16’